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研究室紹介

水環境工学研究室(食料生産環境学科)

 水環境工学研究室では,河川や貯水池といった農業水利に関わる様々な水環境について,健全で持続可能な水環境の保全を目的に,物質輸送を含めた水理実験,水環境中での藻類動態とその要因分析,低次生態系モデル等を用いた水質変動予測,底泥分析などを用いて研究を行っています.物理学的,化学的,および生物学的見地から,おもに,現地観測,水理実験および数値シミュレーションを駆使して種々の水理・水質現象の解明を行っています.

所属教員
濱上 邦彦    
キーワード
水    環境    

研究内容

・閉鎖性水域の流動・水質に関する研究
 近年,ため池などの閉鎖性水域は生活環境ならびに農業生産環境の変化による水質汚濁の対策が急務となっています.ため池は,通常,風の作用による機械的擾乱および日射・放射冷却による熱的擾乱が流れを駆動する外力であるため,水が停滞する傾向にあり,その結果,自浄作用が低いという特徴を持っています.それぞれの擾乱による流れ場の特性を解明することを目的に,現地観測,水理実験および数値計算を行っています.

・浅いため池における植物プランクトンの挙動に関する研究
 アオコは夏季に藍藻類の異常増殖によって発生し,異臭や景観悪化,魚類の斃死などを引き起こします.アオコ発生の制御を行う上で水温成層の形成・消失過程と藍藻の挙動の関係を解明することは重要な課題です.この藍藻の鉛直移動には生態学的要因,水理学的要因,気象要因などが複雑に作用していたため,実際のフィールドでの観測結果は一様でありません.そこで,特に水理学的要因に着目し,観測事例の少ない浅いため池において水温成層化と混合の精密な測定を行っています.

  ・水鳥の飛来がため池水質に及ぼす影響について
 ため池の持つ機能は多岐にわたり,農業用水の確保に留まらず,人々への親水効果や景観形成といった面があります.また,水鳥の越冬池としての機能を果たすため池もありますが,水鳥が多数生息する場合,糞による栄養塩負荷が増大します.これが水域の水質汚濁の原因となることが考えられるため,水鳥が飛来するため池を対象池とし,水域内の年間の栄養塩類推移を,定期観測および数値計算により検討します.

・三陸河川における物質負荷量の推定について
 三陸海岸は,2011年3月11日に発生した東日本大震災によって甚大な被害を受け,養殖施設や,市場,加工施設の流失など,水産業は大きな被害となりました.いまでは,養殖業の再開や浜の再建が進んでいます.これらの持続的な発展・振興を図るためにも,三陸沿岸の自然環境を正しく把握する必要があります.そのために水産業が行われる湾に注ぐ河川の水質環境を知ることは重要です.そのために,三陸河川を対象とし,現地観測による流量,水位および水質のデータ取得を行うことで,流出特性および沿岸部へ流れ出る物質負荷量の検討を行っています.

卒業研究・修了研究テーマ例

平成27年度修士論文

①水鳥の飛来する溜池における栄養塩類動態と汚濁要因に関する研究

平成27年度卒業論文

①ため池の水温成層化と藻類の日周期鉛直移動特性

②三陸河川の流出特性と栄養塩負荷に関する検討

③富栄養化したため池における底泥からの栄養塩類の溶出

④諫早湾干拓排水門開門による農地塩害のリスク検討