研究室紹介
ランドスケープ・地域マネジメント研究室(地域環境科学科)
「人口減少、過疎、災害多発時代におけるプランニング」
キーワード:都市計画、地域計画、土地利用管理、ランドスケープ、復興まちづくり、防災
人間の暮らし、自然、そして災害をどのように両立させて、持続可能なまちへ繋げていくことができるでしょうか。
人がつくった計画、制度、そして事業のあり方を見直し、よりよいあり方を提案していくことを目指しています。
★荒木の研究内容はこちらから:researchmap
- 所属教員
- 荒木 笙子
- キーワード
- 人 景観 環境 農山村 防災
研究室NEWS
- 日本都市計画学会の2024年 年間優秀論文賞を受賞しました!
庄司 有希子,荒木 笙子,姥浦 道生(2024)福島原発被災地域における建築動向と土地利用変化に関する研究 先行的に避難指示解除した楢葉町を事例として, 都市計画論文集 59(3) 1320-1327
研究内容
都市/農村含めた,広い「地域」の事例を調査しています。特に災害をキーワードにしているものが多く、東日本大震災(2011年発生)と能登半島地震(2024年発生)を扱っています。
実績一覧はresearchmapをご覧ください。
(1)津波被災地における空間変容、居住地選択とコミュニティ形成に関する研究
- 防災集団移転事業の実施区域における住民の居住地選択(石巻市雄勝地区)
Q:津波被災地から集団で移転を余儀なくされた人たちは、どこにどのように移転先を選択したのか?
A:雄勝地区に残って本設できた世帯は11.3%のみ,仮設期に地区外に移動後戻ってきた世帯も。自力再建した世帯は市外・県外へも移動している - 土地区画整理事業導入が住民の居住地選択に与えた影響(釜石市鵜住居地区)
Q:区画整理事業は事業と実需の乖離が課題とされているが、実態は?
A:被災時の年齢と区画整理事業の導入が、住民の居住選択に大きく影響した - 防災集団移転事業に伴う移転世帯の満足度(石巻市)
Q:どんな要素が復興の満足度に寄与しているのか(利便性?自然?)
A:石巻市のタイプの違う2つの移転先団地を比較した結果、満足度は同程度、住環境や景観が満足度に直結した
(2)災害リスクを踏まえた都市計画制度や事業に関する研究
- 事業を使わない自主的な集団移転の実態(丸森町)
Q:課題の多い防集事業を用いずに集団移転を実施した場合の効果と課題は?
A:効果)早期にリスクが低く移転元地から近い場所に移転再建が可能となった
課題)一部の移転元地は遊砂地として買い取られたが,そのほかは再居住のリスクあり。今後,人口減少が進む中で,造成団地にも空き家・空き地が発生する可能性。 - 防集事業の歴史的背景について(導入契機事例@伊那谷)(導入初期事例@天草)
Q:防集法(1972年)に基づく防集事業は、拡充されて利用されてきた。現在(特に東⽇本⼤震災後)の⼈⼝減少下において当初の狙いや理念から離れた過⼤な復興事業が実施されているのでは?
A:従来の過疎法+災害復旧の視点=補助率・補助対象拡充、短期間・急拵えの⽴法。短い事業期間と移転後の⽣業確保により、多くの住⺠が防集団地に移転し、結果的に町外流出を防ぐことにもつながっていた。
(3)土地利用コントロールとコミュニティ施策に関する研究
- 津波被災低平地におけるレクリエーション管理利用の実態(宮城県沿岸)
Q:津波被災低平地において、どのように土地を確保してレクリエーション施設(パークゴルフ場)が整備し、管理・利用されているか
A:利用需要把握や隣接地との関係で、地域住民の利用や管理を受け入れやすくなる
(4)都市部・地方部における第一次産業の管理と課題に関する研究
- 東日本大震災後の地域外通い漁業実態(石巻市)
Q:震災後に例外的に認められた、地域外「通い漁業」について、ライフスタイルの変化の観点
から新たな就業の可能性を見出せるか?
A:漁協や漁業者へのヒアリングの結果、通いになった理由は「子の教育」や「通院」など、もとの生活圏に寄る形。売上や地域コミュニティの点からは存続可能が見出せたが、新規参入は難しい。
そのほか、2025年現在実施中の活動
- 能登半島地震被災地における「一人一花in能登半島」実行委員として、ガーデン作成やワークショップ実施の支援、管理手法の検討など
- NPO法人「一本杉通りの文化遺産を守る会」理事として、七尾市を中心に震災被害にあった歴史的建築物の保存活動
- 雄勝ローズファクトリーガーデンにおけるボランティア活動(2012年から現在)
- りくカフェガーデンにおけるボランティア活動(2013-2015年頃、2025年に再開)
過去の主な活動
- 「令和6年度 3.11学びなおし塾」における市民向け講演(2024年6月2日):Youtube
- 日本都市計画学会 防災特別委員会 第4部会 公開シンポジウム「被災後の低需要地の土地利用管理について考える」企画・進行(2025年5月10日)
卒業研究・修了研究テーマ例
2025年度卒業論文(進行中)
- 岩手県内の廃小学校跡地活用プロセスに関する研究
- 岩手県の防災を目的とした個別移転事業の実態に関する研究
