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研究室紹介

獣医生理学研究室(共同獣医学科)

私たちヒトやウシ,マウスなどの哺乳動物を対象にして,健常な動物の身体の生理機構を明らかにすると共に,病気が発生する仕組みや治療法の基礎的研究を行っています。

所属教員
木崎 景一郎     大沼 俊名    
キーワード
動物    家畜    生命科学    産業動物    

研究内容

①胎生とは、雌が身体の中で卵をふ化させ、そのまま身体の中で赤ちゃん(胎子)に栄養を供給、成長して生まれることです。私たちヒトを含む多くの哺乳類は胎生動物であり、胎子は母親の「子宮」という器官の中で育てられ、「胎盤」という器官を介して母体とつながっています。胎子と「胎盤」を直接つないでいるのが「臍の緒」です。「胎盤」は胎子由来の細胞と母体由来の細胞から成り、物質やガスの交換、ホルモンを分泌したりと、胎子が正常に育つためには「子宮」と共に欠かせない器官です。胎盤が正常に形成されないと、胎子が成長することはできません。すなわち、受精が正常であっても、胎盤ができない、その機能が発揮できないのであれば、妊娠が成立しない、若しくは維持できないことになります。胎盤の形成不全は、私たちヒトでも認められますし、他の動物でも見られます。しかし、胎盤形成不全のメカニズムは勿論のこと、どのようにして胎盤が形成されるのかは完全には明らかになっていません。

  この「胎盤」を形成する胎子側の細胞と母体(子宮)側の細胞に着目し、遺伝子発現や特異タンパク質の機能面などから、「胎盤」の発生、形成のメカニズムを明らかにしようと考えています。胎盤が形成されるメカニズムを解明することは、ウシなどの食料動物場合では生産性の向上につながるものであり、またヒトの医療・医学分野へも基礎的知見を提供することが可能であると考えています。

 

  ②がんとは、体内の特定の細胞が歯止めなく増殖するようになった状態で,放っておくと全身に転移し,やがては個体を死に至らしめてしまう恐ろしい病気です。獣医療の発達やオーナーの健康に対する意識の向上により,伴侶動物の長寿命化が進んでいる昨今,がんに罹患する動物も増加する傾向にあります。以前より、医療に限らず獣医療でも,がんの治療には3大療法とよばれる放射線療法,外科療法,化学療法が一般的に用いられてきました。これらに加えて近年新たに開発されつつある治療法の一つとして,抗血管新生療法というものがあります。これは,がん組織に栄養を供給する血管(腫瘍血管といいます)を選択的に破壊することで、がん組織の成長を抑制するという治療法です。がん組織の血管だけを選択的に破壊し、正常な組織の血管への影響は少ないため、これまでの放射線療法や化学療法では避けることの出来なかった副作用の心配がないという点が優れています。

  この抗血管新生療法を、より効果的に作用させる方法を研究しています。具体的には遺伝子改変した腫瘍モデルマウスを用い、このマウスに抗血管新生剤とともに様々な薬剤を投与した後の、がん細胞や腫瘍血管、腫瘍リンパ管の機能・形態を解析し、有効で安全な抗血管新生療法の開発を目指します。その成果は伴侶動物の治療のみならず、ヒトのがん治療の発展にも寄与する可能性を秘めています。