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研究室紹介

食肉科学研究室(動物科学科)

所属教員
村元 隆行    
キーワード
動物    家畜    野生動物    食と健康    食料・食品    

研究内容

 食肉科学研究室は動物科学科において主に食肉科学の研究を担当しています。食肉科学の分野には「生産」、「構造・成分」、「美味しさ・熟成」、「栄養」、「調理」、「加工」、「貯蔵」、および「安全性」と幅広いものがあります。

 研究対象については、これまで最も研究が進んでいる産業動物(家畜)の筋肉、その中で特に岩手県が主要生産地である地方特定品種の和牛である日本短角種の筋肉が中心となりますが、技術の応用および新分野への発展という観点から、ホンシュウジカおよびエゾシカなど野生動物や希少動物の筋肉も研究対象としています。また、究極的に、既に絶滅してしまった動物の筋肉がどのような特性を持っていたのかを、食肉科学の研究手法によって解明することを視野に入れた研究も行っています。

 研究分野が幅広い食肉科学ですが、共通のキーワードは「高品質」です。したがって、食肉科学の研究は、高品質な食肉を高品質なまま消費者の口に運ぶための研究が中心になっています。 食肉の品質を評価する場合、大学、研究機関、および食品メーカーの研究所などでは、主に「理化学分析」および「官能評価」が行われています。理化学分析では、水分含量、脂肪含量、およびタンパク質含量などの一般的な成分や、色調、保水力、加熱損失割合、および剪断力価などの物理的な性質が分析されています。官能評価では、食肉を実際に喫食することによって、軟らかさ、風味、および多汁性などが評価されています。

 一方、私たち消費者が食肉の品質を評価する場合はどうでしょうか。私たちが食肉を購入するために食肉店に行くと、販売されている食肉のほとんどはトレイに乗せられてパック詰めされています。したがって、私たちは見た目などの限られた情報から食肉の品質を判断せざるをえないのが実情です。そのため、「食肉を購入する際に最も重視する品質は何か」というアンケート調査に対しては、約6割の消費者が「新鮮な肉の色」と答えています。これは、店頭で得られる少ない情報の中で、肉の色からは新鮮さや風味などが経験的に判断できるためであると考えられています。そこで、消費者の購買意欲に最も影響を及ぼしている品質は色調および肉色安定性であると考え、これらの情報から、食肉の品質を総合的に評価するための研究を行っています。

  また、肉の色と同様に重要だと考えている品質に「軟らかさ」があります。購買時に最も重要な品質は肉の色ですが、購買後、実際に喫食する際、消費者にとって最も判断しやすい品質は軟らかさであると考えられているためです。そこで、軟らかさを客観的に評価するため、理化学分析と官能評価とを並行して行い、喫食時に判断される軟らかさを数値化するための研究を進めています。

 研究内容については二つのこだわりを持っています。一つは日本短角種の研究を継続すること、もう一つは非破壊分析の方法を開発することです。日本短角種の筋肉(牛肉)は霜降りではなく赤身ですが、私がこれまで食した牛肉の中では最も美味しい牛肉であると考えています。この牛肉がなぜ美味しいのかという理由について、ぜひ解明していきたいと思っています。非破壊分析にこだわるのは、入手の困難な貴重な筋肉であっても、非破壊分析であれば元の状態のまま保持できるためです。例えば、美味しい牛肉が分析で消失してしまうのはもったいないということです。

 食肉科学研究室では、研究室内で行う分析やゼミだけではなく、学外でのサンプリングや調査なども重要であると考え、毎年恒例の行事としているものがあります。例えば、研究機関と共同で日本短角種などを屠畜しての筋肉採取、行政機関と共同で野生動物を屠殺しての筋肉採取、貴重な野生動物の食肉の販売動向の調査、日本短角種肥育牛の放牧状況の調査、現地に出向いての生産者や民間企業担当者との勉強会などがあります。

  今後も、食肉科学の研究を通して、将来を担う学生達に学問の意義や楽しさを伝え、また目標を達成するために必要な考え方を教えていくとともに、食生活からは切り離せない食肉の研究結果を、消費者に少しでも多く情報提供できるよう努めていきたいと考えています。今後とも宜しくお願い申し上げます。      

 

筋肉の非破壊分析

 

牛肉の官能評価