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研究室紹介

実験動物学研究室(共同獣医学科)

 ヒトや動物の疾患を再現できるモデル動物を用い、疾患の病態メカニズムについて研究しています。
 また、生理化学的実験手法を用いて、動物の体内恒常性の維持機構について研究しています。

所属教員
古市 達哉     山田 美鈴    
キーワード
動物    実験動物    生命科学    生物化学    生産技術    

研究内容

1.モデル動物を利用して疾患の病態メカニズムを探る

マウスへ化学変異原であるENUを投与することによって生殖細胞に点突然変異を誘発させ、遺伝子変異マウスを作製することができます。私たちは大規模ENU変異マウスライブラリーの中から骨格や関節に異常を呈するマウスを見つけ出し、連鎖解析という遺伝学的手法を用いて原因遺伝子を探しています。この研究を通して、ヒトの変形性関節症のモデル動物となり得るM451マウスを見つけ出し (図A)、GDF5という成長因子の機能を阻害する遺伝子変異が関節変性の引き金となることを示しました。一方、ヒトのトーランス型扁平椎異形成症の原因となる遺伝子変異を持つM856マウスを同定しました (図B)。この変異はCol2a1遺伝子内に存在し、変異遺伝子から作られるタンパク質が細胞外へ正常に分泌されずに著しい骨格異常が引き起こされることを示しました。ENU変異マウスの解析を通して、骨関節疾患の新規原因遺伝子の同定と病態解明を目指しています。 SLC39A13は亜鉛の膜透過を媒介する亜鉛トランスポーターの一つです。Slc39a13遺伝子のノックアウト (KO)マウスを解析し、同マウスが成長遅延をはじめ、骨・歯・眼・皮膚等の硬組織および結合組織において広範な異常を呈することを発見しました。一方でSlc39a13 KOマウスと脊椎異形成型エーラスダンロス症候群というヒトの遺伝病の類似性に着目し、SLC39A13遺伝子の機能消失型変異が同疾患の原因となることを示しました。現在も他の亜鉛トランスポーターKOマウスの骨組織の解析を行っています。

 

2.低酸素応答に関わるホルモンやサイトカインの発現制御機構を探る

私たちは、環境変化に応じて柔軟に対応する生物の恒常性維持機構に興味を持ち、特に生体内の感知機構と制御機構を結ぶ情報伝達物質であるホルモンやサイトカインの分泌機序に着目しています。その中で、酸素濃度変化を感知・制御する機構に関する研究を、貧血や低酸素に反応して造血を促進するエリスポロエチン(EPO)の発現制御機構の解明を通して進めています。 これまで遺伝性腎疾患モデルマウスを用いた研究では、腎臓でのEPO産生細胞を同定し、慢性腎疾患の進行に伴う貧血(腎性貧血)がEPO産生細胞の機能低下に起因するEPO産生不足であることを明らかにしてきました。EPOは腎臓で主に産生されるサイトカインですが、最近の研究では、腎臓ほどの分泌量はないものの、脳でも低酸素に反応して産生されており、神経細胞の保護に働いていることが示唆されています。脳は大量の酸素とエネルギーを消費する臓器であり、私たちは中枢神経系におけるEPOの新しい機能や作用のしくみについて明らかにすることも目指しています。 生体の正常なホルモンやサイトカインの分泌機構がどのように保たれているか、ミクロレベルからマクロレベルまで幅広い最先端研究手法を取り入れて、多

面的に生命現象を解析していきたいと考えています。

ラット腎臓におけるEPO産生細胞(矢印)